起点は新宿、「籠原駅車両切り離し」の儀礼にご注意
今回の青春18きっぷの旅は、伊香保温泉での入浴と、原美術館ARCでの美術鑑賞を日帰りで堪能してしまおうという、やや欲張りな行程なのである。目指すは最寄り駅である群馬県の渋川駅。前回の宇都宮と同じく、伊香保温泉方面は都心からのアクセスがまあまあ良く、それでいて、日帰りで往復すれば18きっぷ1回分の金額も十分に元を取ることができるので、このコースも私の「18きっぷ美術館めぐり」の定番のひとつになっている。
【新宿→渋川 2,310円】
08:28発 新宿 JR埼京線・武蔵浦和行 2,310円
08:41着 赤羽
08:45発 赤羽 JR快速アーバン・高崎行
10:15着 高崎
10:25発 高崎 JR上越線・水上行
10:49着 渋川
新宿から高崎への直通電車もあるけれど、この日は現地でのバスへの乗り継ぎ時間の都合上、途中の赤羽で快速アーバンに乗り継ぐ1本を選択した。
そして、東京あるいは新宿方面から高崎に向かう際に注意するのは、途中の籠原駅での「車両切り離し」だ。前寄り5両が籠原駅で切り離されるので、そのたびに、前寄りの車両に乗ってしまった人たちが慌ただしく後続の車両に乗り換えてくるという光景が見られる。高崎方面の電車の前寄り5両に乗らないことは当然として、乗り換えてきた人たちで混雑することもあるので、あらかじめ真ん中より後ろの車両に乗っておくのが無難かもしれない。
渋川駅から伊香保温泉へ
渋川駅に到着して改札を出ると、分かりやすく伊香保温泉方面の案内板が出ているので、それに従ってバス乗り場3番へ。

関越バスのホームページでは発着時刻案内の検索もできるので便利。
と、ここでバスに乗ったら、すかさず購入してほしいのが800円の「1日フリー乗車券」だ。乗務員の方に伝えれば、車内販売もしてくれる。
実は…ともったいぶるほどのことでもないのだが、渋川駅と伊香保温泉を往復(1,160円)するだけでも、元が取れてしまう。原美術館ARCも伊香保線上にあるので、もちろん乗車・下車可能だ。数百円のセコさのせめぎ合いだが、このセコさも塵も積もればなんとやらなのである。
【渋川駅→伊香保温泉 580円】
10:55発 渋川駅 ※関越バス1日フリー乗車券(800円)利用
11:25着 伊香保温泉

「花山うどん」で「鬼ひも川」
渋川駅からのバスが終点の伊香保温泉に到着すると、薄曇りの空からポツリポツリと雨が降っていた。傘をさすほどではないけれど、はっきりしない空模様だった。
バス停から石段へは、左手の急勾配の坂を上り、横手館の建つ石畳の脇道へと入っていくと、すぐだ。
そして、花山うどんに到着。都内にも店舗を構える人気店だ。人気店なので、12時前でもすんなりと入ることができるわけでもなく、前に数組の待ち客がいたので、30分くらい待つことになった。
伊香保温泉オリジナルのメニューもあったが、ド定番の「鬼ひも川」を注文してしまった。
丸本館の源泉かけ流し内湯を貸し切りで
昼食を済ませたら、どこかしらのホテルか旅館の日帰り入浴でもしようとタオルまで持参してきていたのだが、この界隈を2軒ほど立ち寄ってみたところ、いずれも「本日の日帰り入浴は休みです」の案内が出ていた。ちょうどこの時期、オミクロン株が流行していたので、そのせいもあったのだろう。
仕方がない、石段の途中の共同浴場(石段の湯)で済ますか…と、失意に打ちひしがれてトボトボと石段を下っていたところ、目に飛び込んできたのが、
「黄金の湯 源泉掛け流し 入浴できます 40分貸し切り可 お1人500円」
という案内板だった。500円という破格の安さと「貸し切り」の誘い文句に、思わず「な、なんだってー!」と叫びそうになってしまったが、叫びはしなかった。
旅館の名前は「丸本館」。外観からは昭和の残り香が漂ってくる旅館だ。
玄関先で「いらっしゃい、どうぞ~」と呼び込みをしている奥さまがいらっしゃったので、「日帰り入浴できますか?」とお尋ねしたところ、この奥さまは旅館の奥さまではなく、すぐご近所のうどん屋さんの奥さまであった。ちょうどお昼時でもあったので、うどん屋さんへの呼び込みをしていらっしゃるところだった。
うどん屋の奥さまは「お風呂なら、ここの奥さんを呼んであげるから」と、旅館の玄関を入っていって呼び鈴を鳴らしてくれ、そしてついに、旅館の奥さまが現れたのだった。
「日帰り入浴できますか!?」
「大丈夫よ。タオルは持ってるの?」
「はい、あります!」
「どうぞ、500円ね」
危うく日帰り温泉難民となりかけた私に救いの手を差し伸べてくれた丸本館。ああ、ありがたや。
伊香保温泉に古くからある「黄金の湯」は、湯量が豊富というわけでもなく、貴重なお湯を各旅館に分配しているので、湯舟が大きかったりすると加水や加温が必要になることもある。
しかし、この丸本館はどうだ。湯舟は小さい。2人も入れば限界だろう。しかし、それが良い。湯舟が小さい分、加温も加水も必要がなく、お湯も新鮮で濃い感じがするではないか。湯量に見合った湯舟の大きさとでもいうべきか。短い時間ではあったが、十分にお湯を堪能し、大満足だった。
タオルを持参してきて良かった、ありがとう丸本館、また伊香保温泉に来たら迷わず丸本館を選びます。そんな気持ちで、旅館を後にしたのだった。
原美術館ARC
うどんを食べ、温泉に入り、最後の目的地である「原美術館ARC」へと移動する。
降車するバス停は「グリーン牧場前」になる。
【伊香保温泉→グリーン牧場前 260円】
13:55発 伊香保温泉 ※関越バス1日フリー乗車券(800円)利用
13:59着 グリーン牧場前
地図で見ると、バス停から美術館までは近いように見えるのだが、グリーン牧場のパターゴルフコースを横目に見ながらぐるっと回り込むように歩かされる。思ったよりも時間が掛かかるので、とくに帰りのバスの時間には注意が必要になる。余裕をもって美術館を出ないといけない。
「原美術館ARC」は、2021年に閉館した原美術館(東京・品川区)と、もともとこの地にあった「ハラ ミュージアム アーク」が統合・改名されて現在に至る。
ここの常設展で好きな作品は、束芋のビデオインスタレーション作品「真夜中の海」だろうか。草間彌生のかぼちゃの「ミラールーム」も面白いし、森村泰昌の「輪舞(双子)」も人を食ったようなユーモアとシニカルさがある。原美術館からは、奈良美智「My Drawing Room」や宮島達男「時の連鎖」といった作品が移設展示されているけれど、これらは原美術館の建物の間取りとともにあった作品なので、移設されたものは、やはりちょっとつまらないというか、物足りなさを感じるのは、仕方がないところか。
そんなこんなで、1時間ちょっとの鑑賞を終えて、美術館を後にし、渋川駅へ戻って、今回の日帰り旅の行程を無事に終えたのだった。
もうちょっと早く高崎駅に戻ってこられれば、電車を待つ間の時間で小腹を満たしつつチョイ飲みでもしようかと思ったが、またそれは次の機会…冬の18きっぷ旅にでも取っておこう。
【グリーン牧場前→渋川駅 490円】
15:25発 グリーン牧場前 ※関越バス1日フリー乗車券(800円)利用
15:45着 渋川駅
【渋川→新宿 2,310円】
16:31発 渋川 JR上越線・高崎行 2,310円
16:56着 高崎
17:12発 高崎 JR湘南新宿ライン快速・平塚行
19:08着 新宿
【今回の旅の交通費】
5,950円 (内、青春18きっぷ×1回分で4,620円を、バス代1,330円をフリー乗車券(800円))
※本記事は2022年8月の情報を元に記載しております。





















