「鉄道開業150年記念JR東日本パス」で青森方面へ
この記事を書いている頃には使用期間の終盤である「鉄道開業150年記念JR東日本パス」。
JR東日本管内を3日間乗り放題、新幹線や特急も4回まで指定可能、いくつかの第三セクター鉄道にも乗車ができる。素晴らしい企画きっぷだ。たまにこんな企画をやってくれたら、何度でも鉄道旅をしてしまうかもしれない。
さて、このお得なきっぷの発売が決まった頃から、これを使いこなして、かねてから気になっていた青森の温泉旅館ふたつと、訪問したい美術館の企画展ふたつを上手いことつなげられないかと、寝る間も惜しんで考えていた。いや、寝る間を惜しんだというのは、ちょっと言い過ぎた、申し訳ございません。
温泉旅館ふたつは、〈日本一黒い温泉〉と名乗る「東北温泉」と、料理の満足度が高評価の黒石温泉「山賊館」。美術館の企画展は、十和田市現代美術館の名和晃平展と、弘前れんが倉庫美術館の「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」。
そんなわけで、まずは1日目の行程として、十和田市現代美術館から東北町の「東北温泉」をつなげるべく、じーっとGoogleマップや十和田観光電鉄のバス時刻表とにらめっこしていると、天の啓示が降るかのように、ひとつのラインがつながったのである。
往路のバスは「七戸~十和田線」を、帰路は「十和田~八戸線」を使えば、下田駅で青い森鉄道に乗り継ぐことができ、東北温泉の最寄りの乙供駅に辿り着けるではないか。ちょっと何を言っているか分からない人は、軽く読み流してもらっても、もちろん、かまわない。

出発は金曜日の朝。七戸十和田駅から十和田市現代美術館へのバスの時刻から逆算して、東京駅7時32分発の「はやぶさ」に乗って七戸十和田駅を目指した。
この日の関東は小雨も降るどんよりした空だったが、北に向かうにしたがって車窓の向こうには晴れ間が広がっていった。心躍るじゃないか。
【東京→七戸十和田】
07:32発 東京
JR新幹線はやぶさ5号・新青森行
10:37着 七戸十和田乗車券:10,010円 指定席:6,800円 → JR東日本パス
青森に着く頃にはすっかり秋晴れの爽やかな空が広がっていた。少し暑いくらいだった。
十和田市方面へは、駅前のロータリーからバスに乗る。この日は平日だったので11時台のバスに乗り継ぐことができたが、土休日は運休になるバスもあるので、事前の確認が必要だ。
美術館前まで向かうバスだったが、まずは昼食をたべるため、手前の十和田市中央で下車した。
【七戸十和田駅→十和田市中央】
11:12発 七戸十和田駅
十和田観光電鉄バス 七戸~十和田線
12:02着 十和田市中央
運賃:660円
ランチは十和田のご当地グルメの「バラ焼き」を
十和田市中央のバス停から徒歩数分、十和田市のソウルフードを謳う「バラ焼き」で人気の「司 バラ焼き大衆食堂」でランチ。美術館の前に腹ごしらえだ。
十和田市観光物産センターの駐車場の隅っこに店舗があるので、初めてだと場所はちょっと分かりにくいかもしれない。
平日とはいえ、ちょうど昼時だったのでテーブル席はすでに埋まっていたが、こちらはひとり旅の身なので、カウンター席を準備してくれて、それほど待たずに入店することができた。
「バラ焼き」は、写真のように、玉ねぎの真ん中に牛肉がそびえ立つという「映える」ビジュアルで運ばれてくる。これをガスコンロで自分で焼きながら食べる。まずは玉ねぎをタレとからませながら飴色になるくらいまで焼き、そこに牛肉を崩して、さらにタレをからめていく。
楽しい…なんて楽しいんだ。めっちゃテンション上がるぜ!…と心の中でニヤニヤしながらも、こちらはひとり旅の身なので、あくまでも冷静を装う。甘めのタレがからんだ牛肉と玉ねぎは、私の食欲を刺激し、ご飯が進んで仕方がないのだった。
十和田市現代美術館と十和田市地域交流センター
昼食の後は、まずは十和田市地域交流センター「とわふる」へ。
2022年9月の開館ホヤホヤの施設だ。白を基調としたフラットな雰囲気は、とても今どきな感じ。オープニング開催の名和晃平展は、十和田市現代美術館との連動企画。アートの街・十和田において、これからの活躍を期待したくなる新たな施設だ。
続いて、官庁街通りを歩いて十和田市現代美術館へ。
もう何度目かの美術館だが、ここの常設展示は視覚的に楽しめる作品が多く、肩がこらなくて良い。過去に何度か来たときは天気もイマイチだったが(おかげで十和田は曇りがちという印象がある)、この日は好天に恵まれ、印象を新たにしたのだった。
名和晃平展「生成する表皮」の展示風景。
妻有大地の芸術祭でもシリコンオイルを用いた新作で強烈な印象を残した名和晃平だったが、今回の展示会場にもシリコンオイルの新作が!白い気泡がポッ…ポッ…と音を立てながら、絶え間なく割れては生成される繰り返しは、生命体のようでもあった。
十和田市から東北町へ
十和田市から東北温泉のある青い森鉄道の乙供駅を最短のルートで目指すため、ピンポイントで下田駅においてバスから鉄道への乗り継ぎがあることを発見したわけだが、そもそも下田駅を経由するバスの本数は少なく、土休日となるとわずか1本なのである。
そのたった1本、下記の時間のバスに限っては、平日・土休日にかかわらず下田駅を経由しているので、土休日であればこれが唯一の乗り継ぎのチャンスであるともいえる。
【十和田市中央→下田】
15:35発 十和田市中央
十和田観光電鉄バス 十和田~八戸線
16:08着 下田駅前
運賃:860円
下田駅に着いた頃には日もすっかり傾き、急激に肌寒くなり、日が短くなったことを実感するのだった。
【下田→乙供】
16:35発 下田
青い森鉄道・青森行
16:59着 乙供乗車券:690円 → JR東日本パス
日本一黒いお湯?「東北温泉」で宿泊
「東北温泉」は東北地方にあるから「東北温泉」なのだと思っていて、そう名乗るには東北地方だなんてエリアが広くてアバウトすぎるだろう…なんてことを考えていたのが、それは私の無知であって、青森県に東北町(とうほくまち)という町があって、東北町の温泉だから「東北温泉」なのだった。
乙供駅からは歩いて5分くらいだろうか。アクセスは悪くない。

建物は比較的新しいのだろうか、部屋はきれいだし、洗面台やウォシュレット付きトイレもあるし、テレビがちょっと小さいなあ…ということだけを除けば、すごく良い。こんなにきれいな部屋だとは思っていなかったので、とても快適に過ごすことができた。
目当ての温泉も、たしかに黒かった。植物成分がベースの、いわゆる「モール」と呼ばれる温泉だ。アルカリ性のお湯なので、入ったとたんに肌がツルっとするのが分かる。町の共同湯も兼ねている施設なので、夜10時で終わってしまうのがなんとも残念だったが、夕食前・就寝前・朝風呂…と、計3回入浴できたので満足だった。
さて、夕食を写真に撮ることをすっかり失念してしまったのは、私の不覚だった。痛恨である。
仕方がないので、館内の壁に貼ってあった「黒づくし御前」の写真を写真に撮るという、むなしい作業をしたわけだが、そこは見逃してやってほしい。
宿泊者の夕食は、この「黒づくし御前」になるようだ。黒い温泉に合わせて、食事まで黒くしてやろうという徹底ぶりに、宿の本気を感じるではないか。中でも「けいらん」は、温かい汁物に甘い餡の入った柔らかい餅という組み合わせで、食感も味も新鮮なものだった。
後編へ続く。
※本記事の情報は 2022年10月時点の情報となります。









































