【青春18きっぷ・新潟編】ぬる湯とモダンアートと越後のミケランジェロ(後編)

栃尾又温泉 神風館 お得なきっぷ旅

念願の栃尾又温泉へ

栃尾又温泉は37℃の「ラジウム湯」の「ぬる湯」として知られる温泉地で、いつか泊まってみたいという熱い思い…いや、ぬるい思いを抱いていた。それが今回、石川雲蝶をめぐる旅では地理的にも絶好すぎる場所だったので、ようやく実現したのだった。
栃尾又温泉は、同じ敷地内に宝厳堂・自在館・神風館の3つが建ち、それぞれ宿泊費も異なっていて、まあ、言ってみれば松竹梅のようなランク付けであるわけだけど、旅の目的とお財布の中身と相談して宿を選んでみると、また違った温泉の愉しみを見出だせるのかもしれない。
宝厳堂は「宿泊予約サイトや旅行代理店には一切情報を出していない」というこだわりの宿。自在館は家族旅行などで使う宿としてもっともポピュラーだろうし、私が泊まった神風館は湯治宿の風情が濃いので、家族旅行というよりは温泉旅にこなれた人向きかもしれない。

栃尾又温泉 神風館
同じ敷地内に神風館・自在館・宝厳館の3つが建つ栃尾又温泉。

栃尾又温泉は、小出駅から出ている南越後観光バスの「小出~栃尾又線」の終点となる。平日と土休日では本数が異なるので注意が必要だ。バス会社のホームページだとちょっと分かりにくいけど、「小出・小千谷地区」に栃尾又線が含まれる。運賃は420円(2022年8月時)。
駅からおおよそ30分のバス旅で、すっかり山の中の人里離れた風情の温泉地に辿り着いてしまう。

  • 栃尾又温泉
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湯治宿の味わいの「神風館」に泊まる

それでもって、今回の旅で私が選んだのは神風館。
宝厳堂・自在館・神風館を「松竹梅」に喩えたが、神風館は「梅」であるかもしれないが、「梅」だからといって悪いわけではない。神風館は湯治宿の風情が色濃く、アメニティや設備は最低限のもので、多少の古さを感じるものの、多少の不便は何のその、なのである。食事と風呂と寝る場所さえあればまったく問題がない。
神風館は、私がセコ旅をする場合に自分自身に課している「朝夕2食付きの場合は1泊1万円以下の温泉宿」というセコ命題にもぴったりとマッチし、小出駅にいちいちバスで出るのはやや面倒なものの、せっかくなので連泊をしたのだった。

部屋は古さはあるものの、きちんと清掃が行き届いているので清潔感がある。冷蔵庫やトイレは共用であるが、部屋には空調やテレビもきちんとあるし、ポットも置いてあるし、部屋の鍵もきちんと付いているので快適だ(湯治宿の場合、テレビや空調はもちろん、鍵すら付いていないこともある)。1階の共用スペースにはフリーのドリップコーヒーが置いてあるので、食後にコーヒーもいただける。

  • 栃尾又温泉 神風館
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食事は部屋食となる。湯治客の中には足腰が不自由な人も多いということで、部屋を行き来しなくて済むように、こうして部屋ごとに配膳をしている。
品数やメニューは、湯治宿らしく、超シンプル。超シンプルではあるが、飾らない家庭の味付けで十分に美味しいので、ご飯がすすむ。連泊でもきちんとメニューが変わる。

  • 栃尾又温泉 神風館
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栃尾又温泉は「したの湯」「うえの湯」「おくの湯」の3つの湯があり、宝厳堂・自在館・神風館の3つの宿の共同浴場という形態を取っている。
「したの湯」は、栃尾又温泉の源泉とでもいうべき湯で、入り口を入ると下へと向かう階段が続いている。その名の通り、温泉郷の下を流れる川沿いに近い源泉だ。洗い場はなく、1日ごとに男女が入れ替わる。「うえの湯」「おくの湯」は新しめの建物の中にあり、日によって男女を入れ替える。こちらは洗い場がある。足腰の悪い湯治客が「したの湯」を行き来するのは大変であるため、源泉から汲み上げた「うえの湯」ができたということだ。

  • 栃尾又温泉 神風館
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いずれもお湯の温度は37℃前後ということで、とにかくぬるい。ぬるいので、とにかく皆さん、湯船に使っている時間が長い。文庫本を持ち込んで読んでいる人がいたが、ページがもはやベチャベチャのフニャフニャになっている。ベチャベチャになってもかまわない本を持ち込んでいるのだろう。じっと目を閉じて瞑想しているかのような人もいたが、これはただ半分寝てしまっていたのかもしれない。熟睡して水没するんじゃないかと、こっちがハラハラするではないか。
そんなわけで、私もひとたび湯船に浸かりはじめると、1時間くらいを目安に入りっぱなしだった。じっーとしていると、じわじわと体が温まってくる。加温された湯船もあるので、交代浴をすると血行が良くなるのが実感できる。
それより何より、湯の温度が低めであるためか、長湯をしても、繰り返し入っても、湯あたりしないのが良い。パンチ力のあるお湯の場合、つい欲張って何度も入ったりしてしまうと、次の日にはかえって体がだるくなってしまうことがあるが、栃尾又温泉のお湯についてはそういうことはなく、翌朝もすっきり爽快な目覚めなのだった。

温泉をあとにして東京へ戻る

3日目。寄り道をせず、ただ18きっぷを使って帰るだけなので、のんびりと朝を過ごす。のんびり朝食を取り、のんびりと温泉に入る。9時を過ぎればチェックアウトしていく客も多いので、お風呂は空いていて快適だ。
10時ちょうどにチェックアウトを済ませ、バスが来るまでの時間、コーヒーを飲みながら館内で待たせていただいた。

【栃尾又→小出駅前 420円】
10:25発 栃尾又 南越後観光バス 420円
10:56着 小出駅前(小出 ~ 大湯温泉 ~ 栃尾又温泉 線)

10分ちょっと待って、水上行きの上越線に乗り込む。
このたびの18きっぷ旅は、石川雲蝶に栃尾又温泉と目的を達し、個人的には満足度の高い旅となったのだった。

【小出→新宿  4,070円】
11:10発 小出 JR上越線・水上行 4,070円
12:55着 水上
13:14発 水上 JR上越線・新前橋行
14:07着 新前橋
14:10発 新前橋 JR両毛線・高崎行
14:20着 高崎
14:28発 高崎 JR高崎線(上野東京ライン)・沼津行
15:02着 籠原
15:13発 籠原 JR湘南新宿ライン快速・平塚行
16:29着 新宿

【今回の旅の交通費】
11,210円 (内、青春18きっぷ×2回利用分 8,400円) 

※本記事は2022年8月の情報を元に記載しております。

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